現代の食の思想的問題(1)

食とSDGsの思想

「食の思想」研究において、最近、注目されるのは、グローバル資本主義の発達にともなう脱自然化・脱ローカル化・工業化・科学技術化の巨大化が引き起こす解決困難な諸問題に対する考え方である。とくにSDGs(持続可能な社会)という考え方が国連を中心として主張されるようになり、日本でも様々な活動がなされているが、これは現代の食の世界が抱えている課題でもあるだろう。

 SDGsで掲げられている17の課題のうち、1(貧困をなくそう)、2(飢餓をゼロに)。3(すべての人に健康と福祉を)等はもちろん6、14、15、などは食の問題そのものである。また世界的にも注目されている地球環境問題も、食料廃棄物や食品ロス問題などを引き起こしている食の世界の総合連関性問題といってよいだろう。それらは究極的には「食の消費主義」を支える「人間中心主義思想」に由来するものであるということができるだろう。