河上睦子著『いま、なぜ食の思想か―豊食・飽食・崩食の時代』社会評論社、2015/1
【目次】
第1章 日本の食(文化)を考える:
―和食の無形文化遺産登録をめぐって
1. 現代日本の食の状況
2. 和食の無形文化遺産登録を考える
3. 和食と「イデオロギー」
第2章 ヨーロッパの食(文化)を考える
第1節 西洋の「食の思想」の特色
第2節 古代ギリシアの食の哲学
第3節 キリスト教の食の思想
第4節 近代ヨーロッパの食の思想
(1)栄養思想 (2)美食思想
第3章 ベジタリアニズム:ヨーロッパに貫通する食思想
第1節 ベジタリアニズムとはなにか
第2節 トルストイのベジタリアニズムー平和主義
第3節 ヒトラーのベジタリアニズムーナショナリズム
(1)ワーグナー(2)ヒトラー
第4節 宮澤賢治のベジタリアニズム:いのちの思想
第5節 現代のベジタリアニズム思想
第4章 食の感性哲学:食べることとはなにか
第1節 フォイエルバッハの食の哲学
第2節 食の感性学
第3節 現代社会の食の感性
第5章 食の「終焉」をめぐって
1.食の終焉とは
ーマクドナルド化する食の世界をめぐって
2.食の未来をもとめて
―「スローフード」をてがかりに
補論(1) 食文化からみる近代日本の西洋化
―福澤諭吉と森鷗外の西洋食論
(2) 「食」をめぐる母たちの「苦しみ」
―フクシマとミナマタ
食べられないような大量の食べ「モノ」を前にして、わたしたちは「食べること」がどういうことなのか、分からなくなってきています。食べ物と人間や自然との関係や、「食べること」をめぐる家族や集団の役割の変化について、考えてみることが必要ではないでしょうか。
豊食が飽食・崩食でもある現代の食の世界について、こうした原初的な問いを発し、そこから考えてみることが必要なように思います。本書では、とくに食の思想という視角から、そうしたことを考えてみたい。
著者:相模女子大学名誉教授。現放送大学・大妻女子大学等非常勤講師。哲学・社会倫理思想。博士(文学)