食の改革

「オーガニック食品」の店が身近になってきている。私が住んでいる都の郊外にもそういう店がオープンになり、少しずつ利用者も増えているようだ。どうやらこれもコロナ禍での日本の食の世界の一つの変化であるように思う。 このことに気づいたのは、(身体的…

食の新しい改革を読む 『サステナブル・フード革命』

サラ・ウォ―ス『食の哲学』の根本的欠点

『食の哲学』という本がよく売れているそうだ。この本の作者はアメリカの哲学者であるそうだが、この本には最初に注意しておきたい重要な(哲学といえない)専門的な、<誤り>があることを知っておいてほしい。 「はじめに」に、次のようなドイツの19世紀の…

ジェンダー平等は日本社会の喫緊の課題

スイスのシンクタンク「世界経済フォーラム」(WEF)が世界各国の男女格差を測る「ジェンダーギャップ指数」の2020年度の日本の順位が156カ国中120位と発表した(2019年は153カ国中121位)。政治、経済分野の男女格差が改善されず、主要7カ国(G7)中でも最…

現代の食の思想的問題(1)

食とSDGsの思想 「食の思想」研究において、最近、注目されるのは、グローバル資本主義の発達にともなう脱自然化・脱ローカル化・工業化・科学技術化の巨大化が引き起こす解決困難な諸問題に対する考え方である。とくにSDGs(持続可能な社会)という考え方が…

感染症と闘った先駆者:緒方洪庵の子孫たち

NHKプレミアムで、「英雄たちの選択」という再放送をみた。江戸時代末期から明治時代に感染症と闘った三人の医にかかわる者たち;緒方洪庵、長与専斎、後藤新平。この3人が、現代の感染症コロナ禍のなかにいる私たちになにを語ってくれるか、取り上げた番組…

コロナと食 (1)ゴーツー政策はコロナから国民を守る政策だろうか

コロナ対策として、日本の政府はさまざまな対策をたてているが、それはどういう目的をもつのだろうか。この政府指導の政策:ゴー・ツー・キャンペーンには、ゴーツートラベル、ゴーツー・イート、ゴーツー・イベントなどがあるようだが、それらは国民の(い…

ブログの再開

5年ぶりの再開 2020/8 食の研究は継続しているが、いろんな仕事に追われ、ブログを書く時間がとれなかった。でも新型コロナの外出自粛の「おかげで」考える時間が増えたので、このブログを再開する。

食の思想(1)―最近の新聞の「食」の情報氾濫

福島原発事故で食べ物の放射能汚染がおき、食について冷静な報道がなされてきたが、最近、また新聞やテレビでは、食のグルメ情報やレシピばかりが流されるようになってきている。それらのなかでとくに和食についてのニュースばかりなのが気になる。これはお…

「食の格差」、子どもの食と貧困

二つの重要なニュースがあった(東京新聞Webニュース4月5日)。その一つは「子どもの食と貧困 初調査へ 健康格差を懸念」 厚生労働省が子どもの食事、栄養状態と、保護者の収入や家庭環境との関連性について、初の全国調査を実施することが4日、分かった。…

イモで自給できるという情報の意味

3月18日の大手新聞のニュースによれば、農水省が3月17日に「食料・農業・農村基本計画」で食料自給率目標(カロリーベース)を50%から45%に下げる一方、日本の食料生産力を示す新たな指標を示したという。それによれば、もし食料の輸入が止まっても、国内…

料理の社内検定とは

料理に関する検定制度にはさまざまありますが、近頃、食品メーカーが調理技術や知識の「食の社内検定」を採り入れる試みが広がっているそうです。これは決して食企業の販売戦略ということだけではないように思います。これは、どうやら一昨年のユネスコの和…

河上睦子『いま、なぜ食の思想か』

河上睦子著『いま、なぜ食の思想か―豊食・飽食・崩食の時代』社会評論社、2015/1【目次】 第1章 日本の食(文化)を考える: ―和食の無形文化遺産登録をめぐって 1. 現代日本の食の状況 2. 和食の無形文化遺産登録を考える 3. 和食と「イデオロギー」…

健康な食事認証マーク

政府は来年4月からコンビニやスーパーなどで販売されている弁当やお惣菜に「健康な食事を普及するためのマーク」を付与する制度を導入することを決めたそうです。 厚生労働省が決めた基準を満たした製品に、黄色(主食)、赤色(主菜)、緑色(副菜)などの「…

『戦火のレシピ』と『ナチスのキッチン』

斉藤美奈子『戦火のレシピ』岩波書店、2002。10年以上前に出版された本なのだが、今改めて読み返してみたところ、この本は決して単に食のことを書いているというようなものではなく、戦争ということがどういうことか、食のレシピを通して示唆してくれている…

「世界が食べられなくなる日」

「世界が食べられなくなる日」という映画を見た。生活クラブが会員向けに特別に上映したものである。この映画は、「遺伝子組み換え技術」と「原子力−原発」という現代の最先端の科学技術が食の世界にもたらしつつある「脅威」を描いたものである。 モンサン…

「セクハラやじ」が意味すること

都議会や国会の委員会でも女性議員への「セク・ハラやじ」があったことが問題になっている。 テレビや新聞などのマスコミやインターネットで盛んに論じられているが、大事なことが抜けているように思う。この問題は議会における「やじ」の問題ではない。公的…

日本の調査捕鯨中止の国際判決を良しとしよう

2014年4月1日(朝日ニュース)「南極海での日本の調査捕鯨は国際法に違反するとして、オーストラリアが即時中止を求めて起こした訴訟の判決が31日、オランダの国際司法裁判所(ICJ)であった。ペテル・トムカ裁判所長は、最大1035頭の枠で実施して…

文化遺産となった和食を強制されたくない

和食がユネスコの文化遺産に登録されたと昨年末から大騒ぎである。 だがそのことの意味について、知っている人は少ないのではないだろうか。 登録されたのは和食料理ではなく、和食という文化なのである。 しかもコメを基本にして一汁三菜の食生活が推奨され…

「もったいない」―ドイツのドキュメンタリー映画

渋谷のミニシアターで「もったいない」というドキュメント映画を見た。この映画は、現代社会の食品廃棄物・食品ロスの現状及びその問題に挑戦しようとしている人たちを追ったドイツのドキュメンタリーである。環境立国ドイツだからこそできた映画だと思う。 …

ハンナ・アーレントの映画

『人間の条件』『全体主義の起源』の著書であるハンナ・アーレントを主人公にした映画『ハンア・アーレント』は、『イェルサレムのアイヒマン』の執筆をめぐる彼女の苦悩を描いた作品であった。 彼女はアイヒマン裁判を通して、ナチスの主要な人物であったア…

和食が無形文化遺産に!

日本の和食が世界無形文化遺産に登録予定! まずはおめでたいニュースだ。以前から申請していたことは知っていたが、申請したものは、和食といっても、本膳料理とか懐石料理とかの日本古来のものではなく、日本人が普通に馴染んでいる料理=自然との調和した…

近頃、ほんとうに食料品が心配です

近頃、わたしの身近なところでも食に関する不安や心配が大きくなってきています。まずはご承知の通り、消費税が来年4月から上がるという。でも多くの国では毎日の食料品には消費税の軽減税率対象となっており、非課税か4or5%位なのだ。格差が広がっている…

いのちを見つめる自然

東日本大震災後から「復興、復興」という言葉がマスコミを通して叫ばれる。また選挙も終わったのにまだ「日本を取り戻そう」という政党のポスターが街のあちこちで見受けられる。何を復興するのだろうか?何を取り戻そうというのだろうか。震災の方は取り戻…

AHN(人工的な水分・栄養補給法)について考えたいこと

近年AHN(人工的な水分・栄養補給法)導入をめぐる議論がありますが、この議論には食べることと生きることとの関係について考える必要がある問題を含んでいるように思います。 日本老年医学会は2012年1月に「高齢者の終末期の医療およびケア』についての…

「トクホの食事」―変だと思います!!

健康に長生きするための食事の基準作りに厚生労働省がまた新たな施策を出すそうです。トクホ(特定保健用食品)の食事版を作るそうです。 トクホ食品は我が家でもなじみがあります。健康上少しでもコレステロールを下げた方がいいと思い、トクホマークの入っ…

「新しき村」への想い―武者小路実篤記念館を訪れて

連休を利用して、以前から一度訪れたいと思っていた武者小路実篤記念館に行った。千川駅より歩いて5分位でした。一応インターネットで確かめていったので、地理音痴の私(たち)も苦労しなかった。近くに桐朋学園があり、とても感じの良い地域で、なんとなく…

社員食堂は民間食堂なのか?

社員食堂が流行っているそうです。社員食堂のメニュー紹介もインターネットに流れているようです。 社食.comや社食ランキングもあり、どこの社食がおいしいか、食べログのように評価の対象にもなっています。 なんと食料や食品に関する省庁である農林水産省…

料理とは、物がそのあるべき味を持っているときに存在するものである

「料理とは、物がそのあるべき味を持っているときに存在するものである」 これはキュルノンスキが料理とはどういうものかを表した言葉です。ある意味で美食の本質を言い当てた言葉です。でもこの言葉の理解はとてもむつかしいように思います。 一般的には、…

ドイツのジャガイモ・スープ

iphoneを手に入れたけれど、携帯と違ってなかなか上手にならないのは、まだ使うことに不安があるからだ。今日の新聞記事には子どもたちのなかには法外なスマートフォンの料金を取られている問題が載っていた(ゲーム使用?)。利便なものはそれを使うだけの…